C言語入門（９）：ポインタと配列

• ポインタ
プログラムを実行するとき、データはコンピュータ内のメモリに記憶されます。メモリにはアドレス(番地)が付けられていて、データを格納する変数１つ１つは、それぞれ決まったアドレスを割り当てられます。ポインタを使うことによってアドレスを直接取り扱うことができます。

ポインタとは？
ポインタとは型の一つです。int 型が整数を扱うように、ポインタは他の変数のアドレスを扱います。
 

• ポインタの宣言

ポインタも他の変数と同様に宣言してから使用します。 変数名の前に * を付けます。
 

int *num;  double *a, *b;


 この例では、num は int 型の変数のアドレスを扱うポインタ、a と b は double 型の変数のアドレスを扱うポインタです。
 
• ポインタの参照

普通の（ポインタでない）変数のアドレスは & を付けて参照することができます。

int *a;  int x;  a=&x;

この例では int 型の変数 x のアドレスがポインタ a に代入されます。
 
ポインタ a で示された内容を参照するには *a のように  * をつけます。

int *a;  int x, y;  x=1;  a=&x;  y=*a;

この例では
1. int 型の変数 x のアドレスが、ポインタ a にわたされる。
2. ポインタ a で示されている x のアドレス の内容(この場合 1) が y に代入される。
となります。
まとめ

	アドレス	中身の値
ポインタ	a	*a
普通の変数	&x	x

 
（例題９−１）
以下はポインタを使い方を示すプログラムである。作成し実行しましょう。  

（実行結果 ）
gcc ex9-1.c -o ex9-1
./ex9-1
x=0, y=1
 
• *a=0 の行を実行することにより、ポインタ a が示すアドレスに対応する変数 x の値に 0 が代入されます。

（課題９−１）
上の例題 の
x=1,y=2;
の行を実数型で
x=-1.5, y=6.2;
に変更しなさい。それに伴なって変更すべきところを変更し、プログラムを完成させなさい。プログラムがどのように実行されているか、１行１行説明をコメント(/*    */) で加えなさい。

• ポインタと配列
 ポインタと配列は、密接な関係があります。配列を int x[10] と宣言すると、int 型の変数を１０こまとめて扱うことができますが、x[0], x[1], x[2], ... x[9] の要素はメモリ上に順番に割り当てられます。
 

int *a;  int x[10], y;  x[0]=1;  a=&x[0];  y=*a;

この場合、
1. int 型の配列要素 x[0] のアドレスが、ポインタ a にわたされる。
2. ポインタ a で示されている x[0] のアドレス の内容(この場合 1) が y に代入される。
となります。
ポインタ *(a+1)は、a の１つだけ後のアドレスを示します。
 

int *a;  int x[10], y,z;  x[0]=1;  x[1]=100;  a=&x[0];  y=*a;  z=*(a+1);

この場合、
1. x[0] のアドレスがポインタ a に渡される。
2. ポインタ a の１つ後ろ、つまり x[1] のアドレス の内容(この場合 100) が z に代入される。
となります。
 

（例題９−２）
以下はポインタを使って配列をx から y にコピーするプログラムである。作成し実行しましょう。  

 
（実行結果 ）
gcc ex9-2.c -o ex9-2
./ex9-2
y[0]=0
y[1]=10
y[2]=20
y[3]=30
y[4]=40
y[5]=50
y[6]=60
y[7]=70
y[8]=80
y[9]=90

• a=x は、a=&x[0] と同じ。配列名は、その先頭のアドレスを表す。
• *(a+i) はaのi 個だけ後ろのアドレス。


（課題 ９−２）
上のプログラムの２つ目の for ループ中の *(a+i) の代わりに *a+i としてみましょう。*a は a のアドレスの中身を表すので *a+i は、*a の値にi を足したものになることを
確かめよ。 

（課題９−３）
例題８−２の複素数のプログラムをポインタを介したコピーを使って書き換えなさい。配列の計算にはfor 文 (i=0 から 1 ) を使うこと。ポインタは c1 用とc2 用の２つ使って、c3 には ポインタを使って足し算する。

余裕のある人へ

（課題９−４）
複素数のかけ算をポインタを介したコピーを使って書きなさい。for 文を使わなくてよい。