研究室の概要

この研究室は、2023年10月1日に遠藤が電通大に着任して新規に立ち上げた比較的新しい研究室です。そのため学生はまだ修士1年生(一期生)と卒研生数名(二期生)のみの研究室になりますが、新たな4年卒研生や大学院生の配属・受け入れ、学振PDの受け入れを歓迎いたします。もし卒研配属や大学院進学などで訪問してみたい・話を聞きたいなどありましたら、気軽に遠藤までメールでご連絡下さい。直接東6号館のオフィスに訪問して頂く、Zoomなどリモートで話をする等、どの形式でもokです。

研究の紹介(卒研生/大学院進学希望学生向け)

ミクロな粒子の物理法則である量子力学を理解しようという研究をしています。原子や電子や原子核やクォークなどミクロな世界では、粒子は波の性質を持ち、非常に面白い現象が起こります。このミクロな世界の物理法則を理解することは、固体デバイス中の電子の動きや、化学反応、光デバイスを理解・開発する基礎になっていて、幅広い理工学分野にとってその礎になる重要な学問となっています。量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式は、発見から既に100年経っていますが、まだまだ未解明なことが多いです。1粒子の量子物理現象はおおむね良く理解されていますが、2粒子、3粒子、4粒子、....と粒子の数が増えると、シュレディンガー方程式を解くことは指数的に難しくなります。この「2-3粒子程度~多粒子でどんな量子現象が起こるか?」という課題に取り組むのが「量子少数多体問題」という研究テーマになります。

理論研究

私たちの研究室では理論物理の研究をします。そのため、
  1. 教科書や論文を読んだりして勉強や輪講をしたり、ホワイトボードで議論をしたりする
  2. 数学や数式を使って、紙とペンで解析計算をして研究する
  3. コンピュータでプログラムを作って、数値計算をして研究する
というのが研究室でやることになります。

研究対象・分野

私たちの研究は、原子数個がくっついて分子を形成したり離れたりする現象や反応を理解することに役立ちます。例えば、極低温まで冷やした原子気体の実験で観測された結果が、理論で予言されたものとバッチリ合うことが実証されています。また、原子よりさらにミクロな原子核の世界でも、数粒子のシュレディンガー方程式を解いて得られた結果と合致する挙動をする原子核現象が知られています。面白いことに、冷却原子気体で観測された原子の挙動と、加速器実験で観測された原子核やクォークの現象が、類似の挙動をして、1つの理論で統一的に説明できてしまうことがあります。このような、一見全く異なるように見える物理現象を1つの理論で統一的に理解しようとする研究(量子系の普遍性を探る研究)もしています。このような普遍性はそれ自身として面白いことに加えて、冷却原子を量子シミュレータとして活用して素粒子、原子核や物性、化学、天体現象を探るという、量子シミュレータ開発研究にも貢献しています。
 また、量子ダイナミクスや非平衡物理に関する研究や、量子ウォークの研究もやっています。

どんな人に向いているか?

量子に関してもっと深く学びたい、研究したいという人を歓迎します。大人数のチームで進める大型の実験研究などとは違い、それぞれの学生が各々の興味に沿った研究テーマを相談しながら決めて、それぞれの研究テーマを進めていくことになります。自分の興味のあることに自分のペースで毎日コツコツひたむきに学びや研究に打ち込むことができる人に向いていると思います。コンピュータプログラミング(言語は何でも構いません)か、数学・数式を使った手計算、の2つが研究手法になります。これらのいずれかに強い興味・関心がある人、物理が好きな人に向いていると思います。

これまで指導した学生の研究テーマ、進路など

エフィモフ状態(量子3体問題)の研究、量子2体問題の研究、ポーラロンの研究、などなど....
  

より詳細な研究テーマ

・冷却原子での原子の2体問題、3体問題(エフィモフ状態)、4体問題
・原子核、特に弱束縛のハロー原子核における3体問題(エフィモフ状態)
・冷却原子での強相関フェルミ原子気体の普遍的状態方程式をビリアル展開で探る研究
・冷却原子やクォーク・グルーオン・プラズマ中の不純物粒子の量子的挙動(ポーラロン)
・非平衡量子ダイナミクス、量子ムペンバ効果
・量子散逸ダイナミクス
・量子ランダムウォーク
・量子制御、量子情報
など。